書籍・雑誌

2009.11.03

拾い読み健康本25

 拾い読み健康本25
『ササッとわかる検査数値と健康度』(講談社 北村聖著)

 私は年初に、大腸や膵臓の腫瘍マーカー検査をしている。主治医に「異常なし」の判定をもらうと、今年も飲めるぞと勘違いをして、またしても生活習慣病と苦闘するはめになる。この繰り返しだ。
 この際、検査数値を自分なりに理解しておこうと本書を手にした。東大教授の著者は、ポイントは3点だという。検査の意味を知る。検査結果をより正確に判断する。そして「行動変容」につなげる。つまり、検査結果を健康に生かそうということである。
 私は「腫瘍マーカー」の項目をまず開いた。〈体の中にがん細胞があると血液の中に出てくる物質を、腫瘍マーカーといいます〉。さらに、こう指摘する。〈欠点は、「がんのときだけ」に上がる腫瘍マーカーがないことです〉
 どうやら腫瘍マーカーは複合診断をするうえでの「助っ人」にすぎないようである。早い話、私は過信していたのだ。
 〈がんの早期発見にいちばん役立つのは、患者さん自身の自覚症状です。せきや血痰が出る、疲れ、風邪が治りにくいなど、ちょっとでも体調が悪くなったら、医療機関にかかること。これが最大のポイントです〉
 その程度であっても相談できる主治医を持ちなさい、ということだろうか。ともあれ本書は腫瘍マーカーの項目にかぎらず、あらゆる検査について、数字とイラストをまじえて詳細に解説してくれる。「尿検査」「血圧」「体重」など約30項目に及ぶ。私と同様に「検査病」にかかっているご同輩には、一読の価値があろう。

(毎日新聞大阪本社管内版に連載。「拾い読み健康本」は今回で終了します。12月上旬から「コラム」を連載します)

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2009.10.06

拾い読み健康本24

 拾い読み健康本24
『水分の摂りすぎ」はこんなに恐い』(廣済堂出版 石原結實著)

 おいおい、私の体は危ないのかい、と思わず声に出したほどである。本書のタイトルを新聞広告で見たときのことだ。
 私は、酒だけでなく、水も愛飲している。目覚めたときと寝る前、コップに一杯は飲む。ウォーキング中は水分補給を欠かさない。これが大いなる健康法だと信じていた。そう強調している健康本だって少なくない。だが著者はこう言う。「近年の『水信仰』に警鐘を鳴らす本である」
 〈ことさら水分だけ独立して摂らなくても、ふつうの食品からも水分をしじゅう補っていることを知るべきである〉。食品名と水分の量を列挙して、こう指摘する。〈冷えは万病のもとであり、その冷えをもたらす水分の摂りすぎは、さらにその元凶ということができるだろう〉
 著者は水分過剰を「水毒」と名づけ、「水毒」によるとみられる病気を解説する。高血圧、心不全、緑内障、肝機能障害、生理痛、うつ病……。まさに万病である。次の一文など、私のことだろう。〈ペットボトルを持ち歩いて四六時中水分を摂っている現代日本人のほとんどの「肥満」が、「水太り」タイプと言っても過言ではない〉
 そこで「水毒」の撃退法だが、「運動と入浴」の勧めに詳しい。このほか「毒出しレシピ」も参考になりそうだ。それでも水分不足による「血栓症」が心配だ、という方へのアドバイスを引用しておきたい。〈紅茶、生姜紅茶、生姜湯など、体を温め、利尿作用のある水分を摂られるとよい〉(次回は11月上旬にアップ予定)

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2009.09.02

拾い読み健康本23

 拾い読み健康本23
『血管健康生活のススメ』(東洋書店 平井正文著)

 現代医学の進歩は「人は血管から老いる」と言わしめるようになった。日本人の死因の第1位はがんだが、2位は脳血管障害、3位は心筋梗塞というから、血管の病気で亡くなる人が多いのだ。 
 失われる髪の毛とちがって、血管は目に見えない。それでも深酒をした翌日など、ドロドロ血液の状態が進んでいるやもしれない、と瞬時ながらも不安にかられる。ドロドロ血液がなぜ体に悪いのか、私は専門的な知識にとぼしい。サラサラ血液の対語として、ぞくっと怖気がはしるのだ。
 本書によると、ドロドロ血液は動脈硬化を増悪させるそうだ。血管の病気の大部分は、この動脈硬化によって引き起こされる。動脈が硬くなり弾力性が失われた状態が続くと、破れたり、ふくれたり、詰まったりしてくる。つまり脳出血、腹部大動脈瘤、心筋梗塞などを起こしやすくなる。
 本書は、動脈硬化を全身病と位置づけ、血管について詳しく解説している。血管の仕組み、血管の病気とその予防、検査方法と治療などだ。静脈の病気、リンパ浮腫の章も見逃せない。
 私が自分に言い聞かせるように読んだのは〈内臓に過剰な量の脂肪が付くと、動脈硬化の危険因子である高血圧、糖尿病、高脂血症が起こりやすくなります〉の文言だった。生活習慣病の一つに該当するメタボリック症候群をそのまま放置しておくと、動脈硬化になると警告を発しているのだ。
 血管外科医として40年のキャリアをもつ著者は訴える。「21世紀は、血管の病気と闘う時代です」(次回は10月上旬にアップ予定)

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2009.08.04

拾い読み健康本22

 拾い読み健康本22
『それは患者の責任です』(NHK出版生活人新書 田上幹樹著)

 タイトルにある「それは」が示すのは「生活習慣病」のことで、本書は糖尿病患者とその予備軍を主な対象にしている。生活管理の大事さは分かっていても実践を続けるのは難しい。私など、その標本みたいなものだろう。
 東京都教職員互助会三楽病院の副院長を務める著者は、糖尿病患者会を組織して啓蒙活動を続けている。それだけに「患者の責任」に及ぶと説得力があり、健康管理が二の次になる原因はストレスだと指摘する。たとえば本書の次の個所は、多くの人が身に覚えがあるのではなかろうか。
〈男性患者はストレスを酒で紛らわし、悪いと知りながら天ぷら、焼き鳥、串カツを注文、小腹がすくと甘い物にまで手をのばす〉〈女性患者はストレスがたまると甘い物と果物の間食、暇ができるとグルメR[三昧、ざん、まい]Rアイスクリームで仕上げをする〉
「患者の責任」は多岐にわたる。たとえば〈病気や治療に関心を持ち、積極的に情報収集するのは「患者の責任」である〉。結論はこうだ。〈生活管理を継続することにより、はじめて「患者の責任」を全うしたことになる〉
 もちろん「医療の責任」にも章を割いている。〈「生活習慣病」の診療に限った場合には、患者さんとの会話・感情の交流を大切にし、信頼関係をベースにして「患者さんの隠れた自己管理能力を引き出す」ように努めることが最も重要な「医療の責任」である〉
 このような優しいドクターだったら、私は「また飲み過ぎました」と甘えてしまいそうである。(次回は9月上旬にアップ予定)

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2009.07.02

拾い読み健康本21

 拾い読み健康本21
『老筋力』(祥伝社 久野信彦著)

 医療に限らず、ほんとうだろうかと首をかしげても、なるほどと納得させるだけの裏付けがあれば合点できよう。本書がそうである。
 百歳を超えた高齢者でも筋肉トレーニングは可能であり、むしろ必要だと著者は主張する。長寿を全うした双子姉妹「きんさんぎんさん」の成田きんさんが実証したと聞けば、これは読みたくなる。
 本書によると、衣類が繊維で編まれているように、筋肉は細い筋繊維が集まってできている。古い衣類を引っ張ると破れるみたいに、高齢者の筋肉も切れやすいとみられ、当時の医療業界では高齢者の筋トレは禁止傾向にあった。しかし接骨院の院長である著者は、きんさんの筋トレを指導して成果をあげ、定説を覆した。
 そのとき、きんさんは足が弱り、家族に抱えられて来院した。「ぎんさんのように歩きたい」。この思いをかなえてあげようと、無理をしない筋トレを始める。効果は3カ月ほどで現れた。筋肉に張りが出てきて、自分で立てなかったきんさんが、ツエもつかずに院内を歩くことができたのだ。
 実は、きんさんは認知症も克服している。トレーニングを始めたころは運動回数を10まで数えるのが難しかったものの、脚力が回復してくると100まで間違いなく数えられるようになったというのだ。著者は書いている。〈自力歩行による血液循環の改善が、脳の活性化にいい影響を与えることが最近わかってきたのです〉
 不況の風に吹かれて、金力は衰えようとも、筋力が強ければちゃんと歩いていける。(次回は8月上旬にアップ予定)

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2009.06.02

拾い読み健康本⑳

拾い読み健康本⑳
『健康・老化・寿命』(中公新書 黒木登志夫著)

 俗に3点セットは受け入れやすいといわれるが、本書のタイトルは私にとってそうだった。50年を越えて生きてきた者には、この三つは気になる言葉である。
 主な章に「寿命」「老化」「肥満」「糖尿病」「循環器疾患」「がん」「感染症」生活習慣」「別れ」が並ぶ。これでは難しそうだなと引けるもしれないが、実に面白く読める。その理由は、生と死をめぐる文学作品や映画の名場面をふんだんに取り入れているほか、著者の体験などエピソードが人間味にあふれているからだ。
 ちなみに著者は日本癌学会会長を務めた東大名誉教授、72歳である。がんと狭心症を体験をし、こう書いている。「がん研究者として、自分のがんをいつか発表したいと思っていた。顕微鏡で見ても、遺伝子から判断しても、転移、再発の心配もない早期の直腸がんである。こんなに早く見つけたなんて、まさにがん研究者の鑑ではなかろうか」
 次を読みたくなる見出しから、ここでは「女性はなぜ長生きするのか」に答えてもらおう。男性のほうが生活習慣上の問題も多いと指摘したうえで、ホルモンの違いに言及してくれる。男性ホルモンは悪玉コレストロールを増加させて善玉コレストロールを低下させるが、女性ホルモンはまったく逆だという。相手がホルモンでは女性に勝てない。私は合点した。
 長生きの記録保持者はもちろん女性で、フランス人のジャンヌ・カルマンさんという。123歳で亡くなった彼女を超えて生きた人は、これまでにいないそうである。(次回は7月上旬にアップ予定)

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2009.05.05

拾い読み健康本⑲

◎拾い読み健康本⑲
◎健腸生活のススメ 日経プレミアシリーズ 辨野義己著

 東京の知人が最近しきりと口にする。「検便をやったほうがいいよ。血便が出たらすぐ大腸の内視鏡検査を受けるんだな」。この50代の酒飲み男は、かくして大腸がんを発見した。幸い転移はなく、内視鏡手術により悪性ポリープを摘出して命拾いをしたのだった。
 腸内細菌の研究者として知られる著者はこう言う。「便は体の健康情報の『お便り』、そして便所は体の健康情報の『お便り所』なのです」。血便という赤信号が出る前に、なすべきことがあるというのだ。
 そもそも、なぜ便なのか。著者によると、大腸は第2の脳と呼ばれるほど重要な臓器で、あらゆる病気の発信源になっている可能性が高いという。腸内環境を、確認できるのが便というわけだ。
 まず色である。「黄褐色、黄色がかった色が健康的」で、「緑がかったり、黒ずんでいると、悪玉菌が増殖している危険性があります」。悪玉菌は発がん物質などの有害物質をつくり、対して善玉菌は腸内環境を改善させて、免疫力を高める。次は「におい」だが、トイレで「くさい」と感じたら、腸内環境が悪化しているという。「刺激臭や悪臭があれば腸内で悪玉菌が支配していることが考えられます」。ウンチはくさいは当たり前ではなく、要注意信号なのである。
 そこで、ビフィズ菌や乳酸菌などの善玉菌を増やさねばならない。発酵乳製品と植物繊維を加えた食事をとれば、ウンチはくさくならないそうで、「食育」より「糞育」は、著書の言葉である。(次回は6月上旬にアップ予定)

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2009.04.02

拾い読み健康本⑱

◎拾い読み健康本⑱
◎「脳疲労に克つ」(角川SSC新書 横倉恒雄著)

 そうか、私の脳は、あふれる健康情報で疲労しているのか、そんな思いであった。次の個所を拾い読みしたときである。
 健康の知識は〈増えれば増えるほど健康になれるというものではないですね。むしろ頭がいっぱいになってしまって脳が苦しんでいませんか? そう、それこそが現代人を悩ませている大問題、「脳疲労」なのです〉
 著者は「健康外来」の創始者で知られる。生活習慣病や更年期障害なども脳疲労が原因で起きているか、あるいは症状を悪化させている、と本書で明言する。そんな脳疲労を取り去るには、五感をみがく「五感療法」が効果的だといい、なかでも「快食療法」を勧める。守るべきは2点である。〈こうしなければ、こうあらねばと自分を禁止・抑制しない〉〈自分にとって心地よいことをひとつでも始める〉
 定時に食べる必要はなく、おなかがすいているときに、食べたいものや好きなものを満足するまで食べてもいいと説く。〈好きなものをたっぷり食べて満足感を得て、その満足感にどっぷりと浸かりましょう。満足感というサインを受ければ受けるほど、脳は自ら健康になってゆくのです〉
 なにやら「魔法」のようだが、「最後には甘いものを食べるといい」や「ダイエットの常識は快食療法の非常識」の解説項目もある。
 早い話、心地よい日常を送れば、脳疲労は吹き飛ばせるということか。あれこれ考えすぎても、脳が疲れるので、興味のある方は具体例を紹介している本書を。(次回は5月上旬にアップ予定)

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2009.03.04

拾い読み健康本⑰

◎拾い読み健康本⑰
◎「やめられない」心理学 集英社新書 鳥居哲志著

 タイトルだけ見ると、「これって、健康本?」と問われそうだが、サブタイトルは「不健康な習慣はなぜ心地よいのか」である。健康心理学の専門家として知られる著者が、その方面から生活習慣病対策にアプローチしている。
 不健康な生活習慣とわかっていても直せないのは、「強化の原理」が働くからだという。著者はこう説明する。「甘いものを食べる、タバコを吸う、お酒を飲む、これらの習慣は糖分やニコチン、アルコールなどの摂取によって強化されている」
 もう一つ重要なのが「刺激のコントロール」で、晩酌にビールがないと物足りないというのは、刺激にコントロールされているからだという。ビールの銘柄にこだわるのは、もっと限定的にコントロールされていることになる。
 この「刺激の支配力」を利用して望ましい習慣のほうに強化できた一例として、著者は禁煙に成功した体験を披露している。「毎日違う銘柄のタバコを買って、刺激のコントロールを弱め、禁煙することができた」。
 食べ物についても同様で、おいしい食材は「刺激としての支配力」が強い。さしずめ私など、あれも食べたい、これも食べたい、酒もうまいぞと心が騒ぐ。そこで本書は、居酒屋に入った時のアドバイスをしてくれる。
「席につくなり好きな料理を何種類も頼み、テーブルいっぱいに広げるのではなく、食べてもよい量の分だけを数品注文する。(中略)あるいは、『いつものあれ』だけを選ばないこともよい」(次回は4月上旬にアップ予定)

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2009.02.08

拾い読み健康本⑯

◎拾い読み健康本⑯
◎「糖尿病はこうして防ぐ、治す」(講談社 河盛隆造著)

 歌は世につれというが、医療や健康に関する言葉も、そうした面があるようだ。メタボリックシンドロームなど最たる例だろう。
 私が目にとめたのは、糖尿病に関する「正常高値」だ。空腹時の血糖値が血液1デシ㍑当たり100~109㍉㌘だった場合に該当し、日本糖尿病学会が「正常域」にある人に注意をよびかけるために、この基準を示した。いわば将来、糖尿病を発症しやすいグループということになる。
 では空腹時血糖値が110~126㍉㌘の「境界域」は、どうなのか。本書によると、「境界域」でも動脈硬化など血管に起こる病変は糖尿病患者なみに進んでいくという。著者はこう書いている。「血糖値が少し高いけれど、まだ糖尿病ではないから……と、今までの生活を続けていれば、心筋R[梗塞、こう、そく]Rや脳梗塞など、命を左右する病気を引き起こすことになりかねません」
 症状がないからといって油断は禁物である。新たに「正常高値」の基準を公表したのは、生活習慣の見直しを促すためだろう。
 「食生活を変える」の章に「できれば禁酒がベストです」とあり、こう説明している。「飲酒は、摂取カロリーの増加も問題ですが、それ以上に、アルコールのもつ薬理作用によって、血糖コントロールの乱れをまねくことが問題になってきます」
 「ストレスが血糖値を上げるしくみ」のページを読みながら、ストレスを発散させるための飲酒はやむを得ないだろうと、私はひとりつぶやいたものではあるが……。(次回は3月上旬にアップ予定)

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2009.01.06

拾い読み健康本⑮

◎拾い読み健康本⑮ 
◎「尿の悩みを解決する本」(法研 本間之夫著)

 昼下がりの喫茶店で、事務職員と見られる制服姿の2人の女性が高い声で話していた。最近トイレが近くなり、机に座っていても落ち着かないとか、並んだトイレの前で足踏みをしてしまったというから、あっけらかんと話すわりには深刻なようだ。2人とも40代の後半か、いや50歳を過ぎているかもしれない。
 そんなこともあって本書を手に取ってみた。なんと40歳以上の男女合わせて7人に1人が、排尿トラブルを抱えているという。「トイレが近い」(頻尿)「尿意をがんできない」(尿意切迫感)「トイレに着くまでに尿がもれる」(切迫性尿失禁)。こうした症状を「過活動膀胱」(OAB)と呼び、01年の国際尿禁制学会で認められた新しい疾患名だそうである。
 OABの詳しい原因はよくわかっていないが、排尿障害と泌尿器科がんの専門医で知られる著者はこう書いている。「膀胱に何らかの異常が生じた場合、自分の意に反して膀胱が過敏に活動し、収縮することで尿が押し出されようとするのだと考えられます」
 肥満、便秘、ストレスを感じやすい、運動不足がちな人がOABになりやすい。加齢も症状を加速させる。自覚症状があれば病院で検査を受けたほうが安心だろう。そのうえで本書の行動療法を実践したい。膀胱トレーニングや骨盤底トレーニングがイラスト付きで紹介されているからだ。
 本書を読んで、私は自分に言い聞かせておいた。「男も70代になると、ほぼ100%が前立腺肥大症による排尿障害になる」。(次回は2月上旬にアップ予定)

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2008.12.02

拾い読み健康本⑭

◎拾い読み健康本⑭ 「人生の幸せは肝臓で決まる」(青萌堂、 阿倍博幸著)
 上部消化器官のCT検査を受けた。などと書き出しても、たいそうなことではない。飲み過ぎによる臓器へのダメージが気になったまでだ。健康診断ではわかりにくいアルコール性膵炎なる病が脳裏をかすめた。
 結局、脂肪肝を指摘されただけで済んだ。脂肪肝は20年以上前から時々引っかかっている。この際、ちゃんと知っておいたほうがいいのではないかと思った。新聞広告で見かけ、タイトルが強く記憶されていた本書を手にしたのも、そんなところである。
 肝臓は生命活動の根本を担っているとし、四つの働きをあげる。まず第一に、食べ物から吸収した栄養分を選別し、分解し、体内の組織が利用しやすいように作りかえる「代謝作用」を行う。次は細菌などの異物や薬剤などの有害物質を無害化する「解毒作用」、さらには脂肪の消化や吸収に欠かせない「胆汁の生産」がある。最後に、全身を流れる血液量の「調節作用」を維持している。
 「元気な肝臓こそが気分のよい活動の源泉です」。肝臓は懸命に頑張ってくれる大切な臓器いわば「肝っ玉母さん」だと著者はいう。タイトルは大仰ではないのだ。
 巻末の「Q&A」も充実し、「アルコールと肝臓」の項目もあった。「脂肪肝は飲み続けていたお酒を二~四週間断てば治るとされていますが、そのまま飲み続けると、アルコール性肝炎、さらには肝硬変、肝ガンへと移行してしまいます」
 「肝っ玉母さん」に負担をかけ過ぎては幸せになれない。

(次回は1月上旬にアップ予定)

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2008.11.04

拾い読み健康本⑬

◎拾い読み健康本⑬
「薬を買う前に読む本」(日本評論社 岡田正彦著)

 私は岡田先生のファンであるようだ。面識はないが、小欄で紹介した「ほどほど養生訓」の著者である。科学的に正当な根拠(エビデンス)にもとづき、専門とする予防医療学を駆使して解説してくれる。その明解さがうれしい。本書も新発見の連続だった。
 市販されている「内服薬とその効き目」「外用薬の使い方」「症状から選ぶ薬」に大別されようか。私は「痛み止め」の項目をまず開いた。深酒がすぎて、二日酔いになりそうなとき、寝る前に鎮痛剤を飲むことがあるからだ。
 本書では鎮痛剤の成分として4種類あげている。手元の成分表を見ると、一つが該当した。その成分について、岡田先生はこうアドバイスする。「もともと病院で使われていた薬であるため、作用が強く(中略)長期の連用をしてはならない」
 そいうことなのだ。ま、一晩ならいいかと言い聞かせる。さらにカフェインを配合していると成分表にあったので、あわててページをめくる。「カフェイン自体に鎮痛や解熱の作用があるわけでもなく、余計なお世話としか、いいようがない」。カフェインは脳の血流を促進して爽快感を与えるだけなのだ。で、岡田節がさく裂する。「いかにも『薬が効いた』という感じにさせるため、商品の売上げをのばすには有効である」
 長たらしい成分名が次々に登場するが、購入した薬の添付文書にたいがい載っている。だから比較できる。カゼ薬、胃薬、目薬、なんであれ、普段よく使う薬を見直すには本書がうってつけだろう。(次回は12月上旬にアップ予定)

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2008.10.01

拾い読み健康本⑫

◎拾い読み健康本 ⑫

「健康とてもいい話」(集英社文庫 石川恭三著)

 世を挙げて、健康ブームである。たぶんブームは定常化し、健康は私たちの暮らしのなかに根づくにちがいない。寿命が延び続けているのだから、いわば当然の帰結といえよう。
 それはさておき、今年から就寝前に、布団のなかで健康エッセーを読んでいる。本書は文庫だから、手にしやすい。サブタイトルにある「見たり聞いたり試したり」の健康話を四季ごとにつづっている。
 春の夜に、私が最初に拾い読みしたのは、「夏の章」の「どんな検査も一時の我慢、やらぬは一生の損」だった。
 というのは、大腸の内視鏡検査の予約を入れたからだ。私の胸の内を、著者はこう代弁してくれる。「大量の水と下剤を飲まなくてはならない。はっきり言って、これはかなり苦痛である。また、内視鏡検査では肛門から管や内視鏡を挿入するので、羞恥心も相当なものだと思う」
 自覚症状はないし、検便も異常がなかったので、正直なところ、予約を先に延ばそうかと思い始めていた。次の一文で決意は固まった。
 「今は年に一度、胃と大腸の内視鏡検査を受けることにしている。正直、こんな検査は受けたくないと毎回そう思うのだが、大腸がんで亡くなった人をこれまでに数多く見てきているので、年に一度くらいは辛さと羞恥心をぐっと我慢して検査を受けることにしている」
 ことほどに、内科医40年という著者の素顔が随所に現れる。とても親しみやすい。導入部に工夫が見られるのも、本書の特色だろう。たとえば「豆は大物」はこんな書き出しで始まる。
 ――「マメな人」「マメに働く」「マメに手紙を書く」「マメに暮らす」など、「まめ」には「真面目」「勤勉」「忠実」「息災」の意味がこめられている。そして、豆といえば大豆をさす。
 このあと「すべての栄養をカバーできる完全食」としての大豆の効用が解説される。
 メタボリックな人は「腹の脂肪は産業廃棄物」の項が必読だろう。ここは著者得意の「もじり警句」を記しておく。「肥満大敵、死(脂)の用心」(次回は11月上旬にアップ予定)

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2008.07.03

拾い読み健康本⑨

◎拾い読み健康本⑨
 「男もつらいよ!男性更年期」(ソシム 石蔵文信著)

 ひろく読まれ、売れ行きが好調という。絶妙なタイトル効果もあろうが、男性更年期外来の担当医として治療に携わってきた豊富な体験への信頼が大きい。しかも、わかりやすく、時にはユーモラスに解説してみせる。
 男性患者の訴えは、実にさまざまだ。不眠、頭痛、のぼせ、めまい、うつ、耳鳴り、口の渇き、冷汗、肩こり、頭痛、動機、胃の痛み、便秘、下痢、R[勃起、ぼっ、き]R障害(ED)……。著者によると「なんでもありなわけです」。ただし、女性のように医学的な意味で男性に更年期障害があるかどうかは疑問だと明かす。とはいえ更年期と称される時期に、こうした症状が男性にみられるのはまぎれもない。
 概して、男性の更年期は社会的にも家庭的にも切迫しがちで、体力の衰えも感じて、心身ともに疲れ切っている。男はつらい。だが、我慢していたら手遅れになる。著者は「思い当たる症状があれば、心療内科や精神科の受診をお勧めします」とアドバイスする。
 診察室での石蔵ドクターはじっくりと話を聞き、効果的な薬を処方するという。EDも然りで、「たかが勃起、されど勃起」の項目を設けている。ちなみに私がR[瞠目、どう、もく]Rしたのは「薄毛も薬で治す時代」で、ドクターも服用中という。
 その著者の筆さばきが見事であるのは、毎日新聞の朝刊に連日掲載していた「生き生き きょうの一言」で証明済みだろう。
(次回は8月上旬にアップ予定)

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2008.06.04

拾い読み健康本⑧

「拾い読み 健康本」⑧

「成人ターナー女性――ターナーとして生きる――」(メディカルレビュー社 藤田敬之助監修/著 甲村弘子著) 

 ターナー症候群はアメリカの内分泌学者・ターナーの名前に由来する。通常2本ある性染色体が1本だったり、一部が欠けた体質のため、背が低かったり乳房が大きくならないといった思春期の発育がみれない。女性にとって特有で、生まれつきの体質のため治すことはできないという。
 しかし、悲観してはいけない。ブックレットの本書はこう語りかける。「ターナー女性であることを早期に発見し、たとえば背が低ければ成長ホルモンで、二次性徴が起こらなければ女性ホルモンといった具合に適切に対処すれば、ほとんど解決することが可能となります」
 女性が成長していく過程にそって具体的に解説している。小児期の「診断と治療」や成人期の「思春期から大人へ」「女性ホルモン補充療法について」などだ。また「健康で過ごすために」では、気をつけたい病気や日常生活のポイントなどをあげている。この章は生活習慣病と闘っている私にも大いに役だった。
 巻末の「手記」まで一気に読んだ。思うに、人間はそれぞれ性格が違うように、体質も異なる。自分の性格を知って行動すれば摩擦は少なくなる。自分の体質を知って健康管理に努めれば、ターナー女性は普通の生活を送れる。
 体質は個性だ、と私は考える。その人の個性を尊重するのは、人の世の決まり事だろう。
(次回は7月初めにアップ予定)

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2008.05.05

拾い読み健康本⑦

◎「胃ガンのすべてがわかる本」(学研、矢沢サイエンスオフィス編)

 春の健康診断の季節がやってきた。それにつけても昨年はドキリとさせられた。検査結果の報告書に「ペプシノーゲン法による胃ガン検診の結果、胃粘膜の萎縮が進んでいます」とあり、精密検査を勧められたからだ。自覚症状がまったくなかっただけに、胃ガンの文字に、どういうことだろうと不安になった。
 書店に駆け込み、家庭医学書のコーナーで立ち読みをした。レジに持っていったのが「胃ガンのすべてがわかる本」。胃がジクジクと痛んだのは、次のくだりだった。「胃ガンは一般に、ガンが発生した直後の成長がゆっくりしています。そのためなかなか自覚症状が現れず、また胃ガン特有の症状というものもないため、たとえ何らかの症状があっても、自分でただちに胃ガンを疑うことはまれです」。
 私は、たぶん震えながらページをめくったと思う。耳慣れないペプシノーゲン検査について、その目的は「胃ガンの疑いのある人を見つけ出す」とあり、得られる情報は「胃粘膜の萎縮度」。つまり、私の胃は粘膜が萎縮している、だから胃ガンの疑いがあるというわけだ。この本はQ&A形式をふんだんに取り入れてわかりやすい。で、私は覚悟を決めた。内視鏡検査を受けることにし、大阪市内の総合病院のベッドに横になった。
 私の検査結果は「さほど心配はありません」。胃ガンの原因になるといわれるピロリ菌も発見されず、以来、今夜もカンパイの日常だが、間もなく今年の検査結果がでる……。  (次回は6月上旬にアップ予定)

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2008.04.02

拾い読み健康本⑥

◎拾い読み健康本⑥
『病気にならない人の免疫の新常識』(永岡書店 安保徹著) 

「気合だよ、気合!」。そう声をあげては、自他に発破をかけていたのは45歳までだった。それからは、とても気合では乗り切れないと悟った。年に一度はカゼをこじらせて寝込む。ということで、目下の掛け声は「免疫力を高めることだよ!」
 たやすく口にしているが、どうして免疫力を高められるのかと問われると、あいまいにしか答えられない。本書を見つけたので、さっそく拾い読みした。
病気のほとんどはストレスから始まるので、ストレスに反応する自律神経を正常に保つことが大事だそうだ。そのためには血液中のリンパ球を増やして活性化させることで、これこそが免疫力がみなぎっている状態だという。
 著書は解説している。「リンパ球には、侵入してきたウイルスや異種タンパクなどの小さな異物を食い止めて、それらに抵抗するための抵抗体を作る働きがあります」。そこでリンパ球を増大させるには、なんといっても体を冷やさないことだ。冷たい食べ物や飲み物を止めて、温かいものにしていくだけで効果があるという。このほか本書では「爪もみ体操」「呼吸法」「睡眠法」から食事に至るまで紹介されている。
 私が注目したのは、「ありがとう」や「感謝します」などの肯定やプラスの言葉をよく口にしていると免疫力が上がるということだ。これなら毎日実践できる。「今夜もお酒が飲めるのは、あなたのおかげです。ありがとう。感謝します」。焼酎は水割りからお湯割りに切り替えた。(次回は5月上旬にアップ予定)

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2008.03.03

拾い読み健康本⑤

◎広い読み健康本⑤
『ほどほど養生訓』(日本評論社 岡田正彦著)

 「1日1句医者いらず」のキャッチコピーで毎日新聞に連載している「近藤流健康川柳」が大好評だと聞く。選者の近藤勝重宗匠は「現代の養生訓として中高年層の共感を得ているようだ」と分析する。
 なるほど、なるほど。
 さて、本書である。予防医学の第一人者が説く「科学的養生訓」といえようか。最新のエビデンス(科学的根拠)にもとづいて、健康で長生きするための秘訣をまとめているからだ。健康診断や人間ドッグでおなじみの数値を示しながら、自分の体質を知るために重要だとして、わかりやすく説明してくれる。
 たとえば高血圧体質の見分け方では、「最高血圧130㍉Hg、最低血圧85㍉Hg」を超えていれば、この体質があるという。そのうえで「最高血圧160㍉Hg、最低血圧100㍉Hg」を超えると、血管障害の起きる可能性が高くなると警告する。
 自分の体質を知ったところで、「病気を予防する食べ物・食べ方」に一章をさいてくれる。「食」の次は「動」ということで「病気にならない体力づくり」の章もある。
 結論は最初に述べている。「私たちの体には自然の健康力が備わっていて、『ほどほど』の生活をすることでその力がもっとも発揮されます」。体重を例にあげると、超肥満は寿命を短くするが、やせすぎもよくない、ほどほどの体重が長生きすると著者は断じる。ただし、タバコだけは、ほどほどに該当しない。病気予防の三本柱は「禁煙・減量・減塩」とある。ご存じでしたか?
(次回は4月上旬にアップ予定)

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2008.02.04

拾い読み健康本④

◎拾い読み健康本④
『母からの贈りもの』(幻冬舎ルネッサンス 田島静枝著)

 最初に断っておくが、本書はドキュメンタリーである。大動脈瘤と告げられた77歳の母親と、その家族の闘病日記なのだが、病気へのアプローチからお医者さんとのやり取りなど、ここには医療情報がふんだんに盛り込まれている。
 著者が「婆ちゃん」と呼ぶ母親は5年前に胃ガンの手術をした。以来、半年ごとに検査を欠かさない。その検査の折に大動脈瘤が見つかった。著者は初めて聞く病名だと明かし、「医者の説明によるとこうだ」として書いてくれる。「血管が老化によって古くなってきており、風船のように膨れてコブになっている。コブがどんどん大きくなっていったら、風船が割れるように破裂してしまう。破裂したら命にかかわる」。
 婆ちゃんは高齢なので、できるものなら手術をしたくないという。主治医は婆ちゃんの話を聞き、様子をみることに決めた。血圧が上がらないように、食事も塩分を控めにするなどのアドバイスをもらう。
 1年後、婆ちゃんは背中や胸の痛みを訴える。著者はインターネットを駆使して、大動脈瘤の専門病院を探す。その病院に婆ちゃんを連れて行くが、飛び込みである。このときの医師とのやりとりは、著書の突っ込み質問とあいまって読む方も、ついつい真剣になる。
 婆ちゃんは手術のかいなく、あっけなく死んだ。医学生の孫は「血管の老衰だね」と言い、娘の著者は「だれにも止められない自然の摂理だった」と振り返る。読後感は実にさわやかで、示唆に富んでいる。
(次回は3月上旬にアップ予定)

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2008.01.05

拾い読み健康本③

◎日本史偉人『健康長寿法』(講談社+α新書 森村宗冬著)

 先達はあらまほしきことなり――と吉田兼好は「徒然草」に書いた。それは健康の分野にも当てはまる。というのは「日本史偉人『健康長寿法』」に目を通したからだ。男の平均寿命が50年に満たない時代に、70歳から80歳を生きた歴史上の人物30人をとりあげている。
 徳川家康(享年75)は自分で下帯を締めることができないほど、下っ腹が出ていたそうだ。「鷹狩り」を健康法にして、起伏の激しい山野を朝早くから走り回るなど、惜しみなく運動を続けていたので、内臓脂肪は少なかったとみられる。食については、旬の素材と温かいものを選んだ。真夏でも熱いうどんを食べたのは、「温かい食べ物が胃腸に良いことを知っていたのだろう」。この他、大久保彦左衛門(同80歳)は雑穀を主食にし、カツオ節をかじっていた。著書は「雑穀で腸内をきれいにし、カツオ節で頭を良くしていた」と解説する。内閣総理大臣を2度務めた山県有朋(同85歳)は中年以降にしっかりと睡眠を取った。50代は5時間、60代は6時間、70代からはなんと9時間は眠ったという。寝る子は育つ、寝る老人は長生きするということか。
 江戸末期生まれの植物学者・牧野富太郎(同96歳)は酒とタバコはやらず少食だった。鼻呼吸を心がけ、愛のある生活を実践、妻との間に13人の子をもうけた。著者は強調する。「健康長寿を得た人は、例外なく愛に満ちた生活を送っている。愛は免疫力を増し、人を元気にする」
 ご同輩、愛ですぞ。
 (次回は2月上旬にアップ予定)

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2007.12.03

拾い読み健康本②

◎『歩くとなぜいいか?』(PHP文庫、大島清著)

 なんと表現したらいいだろうか。わかってはいるけれど、再確認したい欲求とでもいおうか。つまり、こういうことである。
 私はできるだけ歩くように心がけている。歩くのみで、かけ足はしない。エレベーターにも頼る。1万歩から1万2千歩が毎日の目標だ。血液検査の数値が悪化していないから、この歩くクスリは効いている。
 でも、私は確認したい。何度でも確認したくなる。「歩くとなぜいいか?」に、ちゃんと書いてある。「加齢によって生じる基礎代謝低下の大きな原因は、筋肉の衰えによる」。「若々しく健康に過ごすというのは、基礎代謝の低下をできるだけ抑えることにほかならない」。ならば、どうすればいいのか。大きな筋肉は足に集まり、それは体全体の7割を占めているので、しっかり歩けばよろしい。
 心身の体調がよくなれば、ますます元気に歩ける。大島先生は、これを「歩く楽しみ」といっている。結果として、ダイエットになり、長生きでき、脳年齢が若くなり、ボケ防止になり、生活習慣病の予防になり、がんとも闘えるし、気持ちが強くなる――そう書かれている。著者の大島先生は「歩くことは健康法の王さま」だと明言される。ようし、明日も歩かねばと、私は決意をあらたにするのである。
 最終章に「歩いた日は飲む、歩かない日は飲まない」とあった。大島先生は「これくらいは守らなければと自分に言い聞かせている」そうだ。私は宿題を与えられた。
 (次回は1月上旬にアップ予定)

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2007.11.17

拾い読み健康本①

◎『美しくやせるためのゆるダイエット』(知恵の森文庫、高岡英夫著)

 ダイエット本は健康本だろうか。突き出た腹を見れば答えは自ずと出る。やはり健康本だろう。メタボリック症候群の予備軍を自認している私としては、内臓脂肪を減らしてウエストを85㌢以下にしなければならない。
 そこで「美しくやせるためのゆるダイエット」である。美しさは問わないが、この「ゆる」に目がはしった。特徴は「ノルマも制限もありません。大切なのは気持ちよく快適に楽しむこと」だという。私は思わず、本当だろうか……とつぶやいたものだ。ダイエットって、体に出入りするカロリーを強制的にコントロールするのだろう。
 ともあれページをめくる。太る原因はイライラや疲れや倦怠感を募らせることにあるという。こう解説している。「慢性的なストレス環境では、交感神経が過度に優位な状態が持続します。交感神経は食欲を刺激し、一方で脳疲労招きます。脳疲労が続くと、日常生活のすべてで活動水準が低下し、カロリーが消費が減少するために、太ってしまうのです」。ストレスを受けても交感神経をたかぶらせない体質づくりが「ゆるダイエット」なのだ。
「手首プラプラ体操」「肩ユッタリ回し体操」「足ネバネバ歩き」など約30の体操方法が、女性のイラストで紹介されている。ストレス発散体操と名付けたらわかりやすいだろう。私にとって、毎日続けようと思うと、これがまたストレスなのである。(次回は12月上旬にアップ予定)

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